人工甘味料の害悪は、ゆっくりと忍び寄る

人工甘味料の害悪は、ゆっくりと忍び寄る

2019年03月25日

イチロー選手が引退を発表しました。一流選手にいずれは訪れる潮時ですが、潔い決断に拍手を送りたいと思います。「後悔などあろうはずがない」は、野球人として全力を尽くした自負を表現した言葉で、早くも今年の流行語候補でしょうか。

今回は人工甘味料について書きます。人工甘味料は甘みがありながら低カロリーで、善か悪か議論の的でしたが、最近の文献をあたってみると、完全否定されたといってよいことがわかります。これをまとめて先日のローカーボ食研究会で発表したのですが、下記のごとくです。

①肥満になるリスクが、砂糖よりも高い。Macintyre, A. K. Pediatr Obes. 2018 ;13(12):755-765., Zhu, Y. Neural Regen Res. 2013;8(18):1702-13., Ruanpeng, D. QJM. 2017 ;110(8):513-520,

②2型糖尿病発症リスクが砂糖と同等に上昇する。肥満になることを除いても、なおリスク上昇がある。また食後中性脂肪値は砂糖に比して改善ない。Campos, V. Nutrients. 2017 Feb 27;9(3)., Fagherazzi, G. Ann Nutr Metab. 2017;70(1):51-58., Gardener H.  Curr Dev Nutr. 2018 Jan 30;2(5):, Huang, M. Am J Clin Nutr. 2017 Aug;106(2):614-622.

③人工甘味料は自制心を減退させ、虚血性脳卒中リスクを3倍に上昇、アルツハイマー型認知症リスクを3倍に上昇させる(砂糖はいずれも上昇させない)。また精神的負荷を増やす。Creze, C.  Appetite. 2018 Apr 1;123:160-168, Pase, M. P. Stroke. 2017 May;48(5):1139-1146., van Draanen, J. Prev Med Rep. 2017 Nov 8;10:212-217.

まとめると、人工甘味料は肥満や代謝について害悪あり。脳卒中や認知症をはじめとして脳には明らかな害悪あり、となります。これらを総括した文献もみられました。いずれも習慣的に摂取することで害悪につながる、という点が共通しています。

人工甘味料は、ソフトドリンクのみでなく、ある種のヨーグルトや飴など、意外なほど多くの食品に含まれています(ここでは各商品名を挙げることは控えます)。成分表示は「人工」を省いた「甘味料」となっており、スクラロ-ス、アセスルファムK、アスパルテームの3つをよく見かけます。これを皆さんに覚えていただくのは困難なので、当院では「成分表示の中に6文字以上のカタカナの甘味料が入っていたら、買ってはいけません」と指導しております。

食品メーカーはこれらを安全なものと考えて作ってきたと思われます。皆さんは、これらが入っていることを知らずに、あるいは知っていても安全なものと信じて飲食してきたと思います。しかし、こんな害悪が判明してしまった以上、当面は皆さんがしっかり自覚して自己防衛するしかありません。いずれは法的に禁止されるべきと考えています。

 

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