2013/02/03 脂肪肝にならないために @千種区 内科
2013年02月04日
真冬の中、寒い日が続きます。
世間は受験シーズンでもありますが、インフルエンザだけでなく、一般かぜ、胃腸かぜが心配な季節です。
これに加えて、近々、花粉症シーズンも到来します。ご自愛下さい。
そんな訳で、何かと忙しく、4週間ぶりのブログ更新となってしまいました。
先日1月27日に行われた、日本ローカーボ研究会の第3回学術集会の報告です。
予告した通り、アルコール摂取についての重要な知見が得られました。
名大加藤名誉教授による、アルコール代謝の講義が行われたのですが、これで得られた知見は、ローカーボダイエットの方法にも影響を及ぼしそうです。
そもそもローカーボダイエットは、面倒なカロリー制限食を続けにくい人たちのために、よりわかりやすく、実行、継続しやすい食事療法として注目されてきました。
その重要な骨子は、ともすると夜遅くに帰宅してから夕食を摂る人が多い中で、夕食に炭水化物を摂るメリットが少ないことを理解してもらい、これを摂取しないことによって、夕食後の血糖上昇なく、追加インスリン分泌がほとんど必要ないような状態にして、疲弊した膵臓のβ細胞を朝まで休ませ、また夕食から起床までの8~12時間ほどを脂質燃焼モードにすることによって、体重減少しやすい状況を作ることでありました。
そして、夕食後に血糖値を上昇させないことを重要視するという考え方から、飲酒するなら蒸留酒(焼酎、ウイスキー、ブランデー、泡盛)ないし、極辛口のワインあたりにしておきましょう、というものでした。
これまでの、夕食の炭水化物をゼロとする方法で、体重減少効果と血糖コントロールには一定の成果を挙げ、飲酒を禁止しないこの方法は、糖尿病患者さんたちに大いに好評でした。
しかし、今回の知見から、今後はよりよい方法に修正してゆくべきことがわかりました。
生化学の講義みたいになりますが、エタノールは肝臓の細胞内で、アセトアルデヒド、酢酸、アセチルCoAへ、順に代謝されていきます。
このアセチルCoAが、TCAサイクルという代謝経路に入るためには、同じ量のオキサロ酢酸という物質が必要で、これは糖質の分解(解糖系)によってのみ供給されます。
例えばまったく炭水化物(糖質)摂取なしで焼酎を飲むと、アセチルCoAはTCAサイクルに入ることができず、結局、脂質合成系にまわってしまい、これが中性脂肪を増やし、脂肪肝を産む原因である、とのことです。
ですからアルコールを飲む場合、アルコールをしっかり代謝させるためには、糖質を一緒に摂るべき、ということになります。
研究会員全員にとって、大きな衝撃を受ける新知見でした。
では今後、どうするべきか?
長くなりましたので、近日中に続編を書きます。
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