2012/09/16 TV健康番組を冷静に視る @名古屋 内科

2012/09/16 TV健康番組を冷静に視る @名古屋 内科

2012年09月16日

昼と夜の寒暖差が出てきました。風邪には要注意です。
実は先日、当院に今シーズンのインフルエンザ第1号の方が来院されました。
この時期には散発的に発生するのみで、珍しいことです。
本格的シーズンはまだ先ですが、その前の予防接種をお忘れなく。

さて、私は日頃、TVの健康番組を、なるべく見るようにしています。
患者さんから、「先日のあの番組の内容は本当ですか」と質問されることがよくあり、患者さんたちは、TVも含めて、こういった情報に、少なからず影響を受けることがあるだろう、と感じるからです。

最近では、気になったものがありました。本日はその話題を。
主題は、高血圧の人はしっかり減塩食を実行しましょう、そしてその具体的な方法を教えましょう、というもので、これを懇切丁寧に行っているクリニックが紹介されていました。
なるほど、参考になるところはあり、日頃私が指導している減塩食と共通する考え方でした。
他には体重を減らそうとか、漢方薬が効く場合がある、といった内容でした。

私も薬は少ない方がよい、とHP本文中に書いており、基本的には賛成です。
番組の内容は、大筋は間違っていないのですが、ただ、減塩すれば高血圧は治る、と誤解してしまいかねないものであったのが気になりました。
また、血圧は下げないほうが患者さんは元気、と発言した医師もあり、これは誤解されやすい危険な発言だと思います。
これを視た患者さんが、降圧剤はなるべく服用しないのがよい、と考えて降圧剤を敬遠してしまったり、これを処方する医者を「間違った医者」と誤解したりしたら、それこそ大問題だと思います。

実際にはどうかというと、降圧剤なしで血圧を下げることは、そんなに簡単ではないです。
食塩感受性、という言葉があります。
減塩食を実行すると、しっかり(10mmHg以上)血圧が下がる人のことを指しています。
食塩感受性の高い人は、食塩をたくさん摂取すると、逆にしっかり血圧が上がります。
日本人は、食塩感受性のある人は少ない(おそらく40%ほど)とされており、それを踏まえて考えると、降圧剤なしで高血圧が治る人は、軽症高血圧で、さらに食塩感受性が高い人、ということになります。
それは高血圧の患者さんのうちのごく一部だと思います。

食べる楽しみを残しながら減塩食を実行することは、大切だと思います。
しかし、中等症(収縮期血圧160mmHg~179mmHg)以上の患者さんは、やはり薬が必要でしょう。
そのうえで、睡眠時無呼吸症候群の可能性も含めて睡眠の質がどうか、日常のストレスはどうか、といったことも、判断・指導・治療を受けるべき、と思います。

TV番組から情報を得ることはよいことですが、それを冷静に判断する力が必要な場合があるのです。

愛知県名古屋市千種区にある内科で食事療法による高血圧や糖尿病治療ならむらもとクリニックへ

LINEで送る
Pocket