2012/11/04 高血圧治療は自転車の運転 @千種区 内科

2012/11/04 高血圧治療は自転車の運転 @千種区 内科

2012年11月04日

スポーツの世界では、プロ野球シーズンが終了し、サッカーやゴルフは大詰め、フィギュアスケートやカーリングといった、ウインタースポーツが既に始まっており、秋から冬への移ろいを感じます。

いつもは糖尿病関係のブログが多いので、今回は高血圧の話題です。
高血圧患者さんには、可能な限り家庭血圧を測定していただくのがよく、これは今や常識です。

私のクリニックに通っておられる高血圧の患者さんのうち、約8割が家庭血圧を測定して、さらに記帳して持ってこられます。
患者さんが受診されるたび、一度は診察室で外来血圧を測ります。
これがたまに高い値を示した時に、よく聞かれる言葉があります。
患者さん曰く、「ああ、ちょうど今朝、薬がなくなっていることに気づいたから来たのです。今朝はまだ薬をのんでいないから、血圧が高いのですね。今朝の家庭血圧も高かったです」、と。
そういう気分になるのは無理もないのですが、それはちょっと違います。

もともと、朝の家庭血圧は、朝食や朝の薬よりも前に測定していただくよう、お願いしてあります。
普段の家庭血圧が安定しているということは、薬を飲む前の血圧が良好であることを意味します。そこへ、今日の薬を飲んだときに、ポン、と血圧が下がってしまったら、大変です。

最近よく使われる降圧剤は、ほとんどが1日1回服用するタイプで、効力の持続性がよいのです。
例えば薬がない状態から、薬の服用を開始した時を考えてみると、初日からすぐに最大効果を発揮するわけではなく、徐々に効果が増していきます。

これを説明するのに、私流の説明をすると、こうなります。
「例えば自転車を発車させると、ペダルを踏むごとに次第に速度が増していきますね。
しかし、どこまでもスピードが増すのではなく、一定の速度で安定するでしょう。
安定した後も、ペダルを踏み続ける必要がありますが、毎日飲んでいる薬の効果は、このペダルを踏む1回分の力に相当します。
では、ペダルを踏むのを休むと、しばらくは惰力で走っていきますが、次第に速度が落ちていき、しまいには止まってしまいます。
つまり、たまに薬を飲み忘れた時にも、昨日のんだ薬、さらには2日前や3日前にのんだ薬も、体の中に少し残っており、だからいっぺんに血圧が上がることはないのです。
だから今朝の家庭血圧が高かったのは、薬がないことに気づいて不安になったとか、他の原因で上がったとか、そうでなければ偶然高かっただけ、ということでしょう。」

正しく言うなら、薬の血中半減期とか、受容体への結合の安定性、というような難しい専門用語を使わなければならないところですが、
そんな言葉を使わずに説明するにはどうしたらよいか、と考えた末のものです。
ブログの表題の意味が不明だったかと思いますが、悪しからずご了承を。

この説明で、理解できたとおっしゃる患者さんは多いのですが、だからといって、薬を時々のみ忘れてもよい、ということではありません。
これも念のため誤解なきよう、お願いします。

これから季節は冬に入りますが、夏から冬にかけて、一般的には血圧が上昇するため、注意が必要です。家庭血圧を記帳しておられる患者さんは、是非、続けていただきたく思います。

愛知県名古屋市千種区にある内科で食事療法による高血圧や糖尿病治療ならむらもとクリニックへ

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