2013/07/07 2型糖尿病予防食は、貧血治療食の正反対? @名古屋 内科

2013/07/07 2型糖尿病予防食は、貧血治療食の正反対? @名古屋 内科

2013年07月08日

今日は七夕です。暑い1日でしたが、夜になってから、短冊に願い事を書くという、伝統行事も、風情があっていいものです。
そろそろ熱中症のニュースが増えてきて、今後はさらに要注意です。
ただ、暑いからといって、一昨年から書いておりますように、ドリンクの飲みすぎによるペットボトル症候群も、避けなければなりません。

本日の話題は、例によって玄米食のススメと、これに絡んだ豆知識について。
肥満や2型糖尿病にならないように、あるいはこれらを悪化させないようにと考えて、夕食にご飯を食べていない人は、意外に多いものです。
医師の指導を受ける以前から、そうしている人たちがいる、という意味です。
せっかく気をつけるなら、朝食や昼食についても、白米を玄米に置き換えれば、低GI食の効果で食後の血糖上昇を改善できるので、より健康食になると思います。

患者さんたちに玄米食をお勧めすると、「玄米は嫌い」とおっしゃる方もあります。
玄米は「エグい」と感じるのでしょうか。
私は個人的には、トウモロコシのような風味を感じますが。

さて、玄米に含まれる薄皮が、他の方面に思わぬ影響を及ぼします。
貧血症の中でも、鉄欠乏による貧血は、日常的によく遭遇する病気です。
そういった患者さんたちには、貧血の程度にもよりますが、まずは食事療法です。
食物由来の鉄には、レバーや鮎など動物性食品に含まれるヘム鉄と、大豆やホウレンソウなど植物性食品に含まれる非ヘム鉄があります。
そもそも動物性のヘム鉄の方が吸収率がよいことを説明し、ただし日常的には植物性食品からの非ヘム鉄の摂取を重視するようお勧めしています。

非ヘム鉄の吸収率を少しでも良くするための工夫にはいろいろあるものの、その一つは、動物性蛋白質、とくに赤肉をたくさん摂ることです。
これが、植物由来の非ヘム鉄の吸収を助けてくれるというわけです。
ちなみに赤肉に含まれるミオグロビンも鉄を含みますから、相乗効果です。

逆に、玄米など、ふすまといわれる部分のフィチン酸という成分は、非ヘム鉄の吸収をさらに悪化させる、というマイナス点があります。

まとめると、どうなるでしょうか。
鉄欠乏貧血の患者さんが、治療食として、動物肉(赤肉)を多く摂取し、玄米を避けて白米を食べたとします。
これを長期間続けたら、そうでない場合に比べて、おそらく2型糖尿病になりやすいことになりますね。
(赤肉由来のヘム鉄摂取過剰による糖尿病発症リスク増加について、2012/09/02  2012/10/27  2012/12/02ブログ参照)

幸い、鉄欠乏貧血といえば多くは若い女性の病気ですから、一般的には糖尿病の心配はしなくてよいので、肉をしっかり食べて下さい。
鉄欠乏貧血は鉄の「欠乏による」病気、2型糖尿病はカロリーの相対的「過剰による」病気、と、シンプルにとらえれば、このように逆の食事療法が必要になることは、不思議ではない、と思った次第です。

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