2013/08/12 非常食と健康食 @千種区 内科
2013年08月12日
いやあ、なにしろ暑いですね。40度超えのニュースもちらほら入ってきて、当院にも軽症の熱中症と思われる患者さんがこられることがあります。
いよいよ夏本番、要警戒の時期です。
少し前になりますが、アメリカのソイレント・コーポレーションが開発した、完全食「ソイレント」が話題になりました。
粉末を水に溶かして飲むだけで、必要な栄養はすべて摂れる、というもので、8月からすでに商品化されたとか。
買い物も含めて食事の支度や片付けの手間を省いたり、保存性を考えると、便利なものです。
何が含まれているのか調べてみましたが、3大栄養素から各種ミネラル、ビタミン、食物繊維まで入っていて、確かに優れものです。
従来からあるカロリーメイトを、さらに進化させた感じでしょうか。(参考ページhttp://robrhinehart.com/?p=424)
しかし、これで本当によいのか、という疑問はどうしても残ります。
私が子供の頃、父(当クリニックの先代院長)に、こんな質問をしたことがありました。
「もしも食事の代わりに飲めばよい薬が発明されたら、便利じゃないの?」と。
子供らしくない発想ですが、これに対する父の返答は、たった一言でした。
「そんな薬が発明されたとしても、そんなのを食事とは呼ばないんだ」
ソイレント・コーポレーションの尽力に水をさすのではありませんが、私が言いたいのは、本来の健康食としては、なるべく自然に近い食材を、ゆっくり噛んで、味わって食べて欲しい、ということです。
健康維持のための基本のはずですが、これがなかなか守れないものです。
働き盛り世代の2型糖尿病患者さんをみていますと、まず例外なく、忙しいので運動する暇がなく、食事も速い傾向があります。
夜遅くに帰ってきて、ストレス発散のため飲酒しながら食事して、疲れてすぐに寝てしまう。
こんな生活習慣に追い込んでしまう社会こそ、病んでいると思います。
今回のソイレントに対する、わが国でのネット上の反応は、非常食としては優れているが、毎日飲むのはどうか?といった、冷静な意見が多かったようです。
地震国ならではの考え方かもしれませんが、実際、私もその通りだと思います。
今は盛夏、冷えた野菜をいっぱい食べて、この夏を乗り切りましょう。
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