2013/10/14 腹式呼吸と胸式呼吸について @名古屋 内科
2013年10月15日
10月だというのに、暑い日もありますね。
寒暖差による風邪症状の方が増えてきました。
冬に向かって、高血圧の方は血圧がゆっくり上昇してくる時期でもあります。
さて今回は、腹式呼吸の重要性に関する雑感を述べます。
日頃、患者さんに腹部エコー検査を施行しながら感じることがあります。
肝臓は、肋骨の後ろに隠れて存在していますが、腹部エコー検査の際には、超音波は肋骨を通過しませんので、そのままでは肝臓を観察できません。
そこで、息を深く吸っていただいて横隔膜を下げ、これによって肝臓を下の方へ十分移動させて観察します。
この際、腹式呼吸をしていただく必要があります。
横隔膜は胸と腹を分け隔てているものですが、膜というより、厚みのある筋肉です。
ご存じのように、焼肉のハラミが横隔膜です。
横隔膜はドーム状で、これが収縮するとドームは平たくなり、肝臓を押し下げ、肺は下の方へ広げられます。横隔膜がゆるむと、この逆に肺が縮みます。
これが「腹式呼吸」です。腹式呼吸では、腹が前に膨らんだりしぼんだりします。
一方、胸の肋骨を上下左右に広げるようにして息を吸うのが「胸式呼吸」で、この場合は肩も少し上下に動きます。
しかし、腹部エコー検査の際に、深く息を吸っていただくと、自然に胸式呼吸になってしまう人があります。
言ってみれば「腹式呼吸が苦手」な患者さんで、これだと肝臓が下へ移動しません。
そこで腹式呼吸を患者さんに理解していただけるよう、説明する必要があります。
そもそも、まったく意識せずに自然に呼吸しているときは、100%腹式呼吸です。
もちろん睡眠中の呼吸も、これです。
つまり横隔膜は、通常は自分の意志とは無関係に自律神経で動いているけれども、自分の意志で、強く大きく動かすこともできる、という面白い性質があります。
そこで、まず安静にして自然な呼吸をしていただき、この呼吸を意識的にだんだん深くしていただく。つまり、「鼻からゆっくりおおきく息を吸って下さい」とお願いするだけで、うまく腹式呼吸で深呼吸できるようになる場合があります。
これでうまくいかない時には、両腕を交差させて両手を両肩に置いていただき、「肩を動かさないで深呼吸して下さい」と説明したりします。
何とかして腹式呼吸を理解して実践していただけるよう、この他にもいろいろ説明の工夫の余地がありそうです。
実際のところ、内臓型肥満の患者さんは肝臓の位置が高いところにあるため、十分な腹式呼吸で肝臓を下へ移動させる必要があるのですが、内臓型肥満の患者さんは、腹式呼吸が苦手な傾向があり、このため肝臓が一層観察しにくいというジレンマがあります。
さて話を発展させると、深呼吸を利用したダイエット法が、いくつかありますね。
(例によって、ダイエットという言葉の正しい意味からは外れます。)
ヨガ、ピラティス、ロングブレスダイエット(美木良介氏)、ドローイングダイエット、と、ざっと見渡しただけで4通りの方法があります。
このうちヨガとドローイングダイエットは、腹式呼吸重視、ピラティスとロングブレスダイエットは、胸式呼吸重視、と分類されます。
それぞれ、ご参照、ご確認下さい。
私はこのすべてを一定期間試したわけではないので、どれが一番よい、とは断言できない立場ではあります。
しかし、一度、ジョギングしながら息を2回吸って、2回はく動作を続けてみて下さい。
「スッ、スッ、ハッ、ハッ、スッ、スッ、ハッ、ハッ」という要領で。
こうすると、実に簡単に腹式呼吸が実践できているのではないでしょうか。
人はジョギング中は、自然に腹式呼吸になる、という訳です。
そして、腹式呼吸すれば横隔膜が上下に動き、腹腔内脂肪が上下にもみほぐすように刺激を受けるはずです。
ジョギングを真面目に実行された患者さんは、見事に減量に成功していますが、このように、お腹(横隔膜)を動かすことが秘訣なのでは、と思う次第です。
エステでも、落としたいところを集中的にもみほぐしますね。
この観点からすると、腹腔内脂肪を落としたいならば、腹式呼吸の方がよいのではないか、というのが、現在のところの私の持論です。
そして、どんな方法であれ、続ければ効果が出るのではないでしょうか。
「継続は力なり」です。
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