2013/12/15 糖尿病の合併症ー癌について @千種区 内科

2013/12/15 糖尿病の合併症ー癌について @千種区 内科

2013年12月16日

めっきり寒くなりました。ノロウイルスやインフルエンザも心配な季節です。
これについては後日述べたいことがあります。

最近の話題ですが、私が属する日本ローカーボ研究会の本が出版されました。
平成25年12月10日初版となっていますが、もう書店に並んでいるかと思います。
「正しく知る糖質制限食 科学でひも解くゆるやかな糖質制限」、技術評論社、定価1,680円です。
一般書の形態ながら、内容が濃いので、教科書になりそうなものです。
糖質制限の書物は多数ありますが、是非この書を購入されることをお勧めします。
糖尿病治療においては、何が目的で、何が注意すべき点なのか、よくわかります。

この書の中で強調されているのが、癌の発生です。
糖尿病の合併症は、微小血管病変と大血管病変である、ということが、それこそ長年いわれてきましたが、実際に命にかかわるのは結局のところ癌であり、糖尿病患者においては癌の発生が増えることから、当研究会では、糖尿病の合併症のうちで最も重要なのは癌である、と位置づけています。

いかにして癌の発生率を減らすべきか、またいかにして早期発見するかが、糖尿病診療には求められている、そう感じます。

ところで平成25年11月30日には、当研究会主催の勉強会が行われ、私も壇上に上がらせていただきました(下記URL参照)。
http://low-carbo-diet.com/record/periodical-study-society-record/no-5/
この第1部で検討された症例は、参加者の皆さんの間に大きな反響を呼びました。
夕食の糖質制限を適用して糖尿病治療中に、体重は順調に減っていったものの、HbA1c値は次第に悪化していき、その原因がつかみにくかった、という症例です。
精密検査の結果、インスリン分泌が明らかに低下していることが発見され、膵臓癌が発生していたのがその原因であった、というものです。

膵臓癌は比較的発生頻度が低いとはいえ、早期に発見しにくい癌のひとつで、困ったことに糖尿病患者さんにおいては、糖尿病を持たない患者さんに比して発生頻度がはっきり増加する、という事実があります。
患者さんがこのような状況になった時、癌の可能性に早く気づくことが必要です。
当院もエコー機器を保持しており、上記とよく似た状況で、幸い膵臓癌を早期発見できた例がありますが、これに満足せず、今後も常に監視の眼を光らせていくことが求められています。

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