和食と地中海食 ー EPAはよいことばかり

和食と地中海食 ー EPAはよいことばかり

2014年09月01日

夏休みも終わりです。暑すぎた時期があまり続かず、一安心かと思ったら、例年になく雨がふり、挙句、大雨による災害があったり、気が休まらない夏でした。
被災地の方々には、多大なる心痛、お察し申しあげます。

今日は、健康食を目指してのワンポイント、EPAについてです。EPAは正式にはエイコサペンタエン酸といい、ωー3脂肪酸の一種です。
いわゆる血液サラサラ効果、血管の内皮機能の改善、それによる血圧低下効果、認知症予防ないし改善効果が、もともと知られていました。
これに加えて最近注目されているのは、EPAによる糖尿病予防効果です。
EPAは小腸からのGLP-1分泌を促進することがわかっています。
このGLP-1は、インスリン分泌促進に働きますが、別名「やせるホルモン」とか「食欲抑制ホルモン」と呼ばれ、糖尿病治療薬としての注射薬も存在します。
高度の肥満を伴う2型糖尿病患者さんには、体重減少効果がとても優れています。

この注射薬は残念ながら、とても高価な治療費がかかるもので、気軽に使うべきものではありません。
こんな薬を使わなくても、EPAが豊富な魚を食べれば、大食い予防、糖尿病予防に働きます。
また現在、代表的な糖尿病治療薬としてよく使われている、DPP-4阻害薬を服用しておられる患者さんに関しては、EPAを多く摂取すると治療効果が高まることもわかっています。
先にのべた認知症改善効果にしても、糖尿病の合併症として認知症が今後ますます重視されることを考えると、まさに糖尿病関連の話題ではEPAはいいことだらけです。

EPAはもともと、青魚に多く含まれることが知られており、サバ、イワシ、マグロ、サンマ、ハマチといったところです。
ただ注意すべきは、魚の脂にEPAが含まれていること。
つまり、マグロの肉でもっとも出回っているのは赤身ですが、残念ながら赤身にはほとんどEPAがなく、中トロや大トロがよいのですが、高価なのがネックですね。

ところでω-3脂肪酸の一種のαリノレン酸も、体内で一部がEPAに変化します。このためリノール酸に比してαリノレン酸を多く含む食品も重宝されます。
αリノレン酸は、調味油ではエゴマ油、キャノーラ油、亜麻仁油、大豆油に含まれます。
ナッツ類ではクルミにダントツに多く含まれ、魚介類では、青魚の他にも、アユ、アンコウ肝、タラ、タラコ、イクラなどに多く含まれます。
これを考えると、血液中のEPA濃度を上昇させる良質な食材は、決して青魚に限らないことがわかります。
しかも、タラコやイクラはコレステロールの塊として、体に悪い食材みたいに思われがちですが、それぞれ100g(タラコなら3本)も食べなければ、体によい食材なんですね。
このことは、調べてみてわかった、少し意外な事実でした。

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