糖質制限食が目指すもの
2018年02月13日
久しぶりです。いつの間にか冬本番となっておりますので、インフルエンザやノロウイルス胃腸炎に注意が必要です。既に述べた通り、人混みではマスク着用、外出前のうがい、帰宅後の手洗い、が重要です。
食事療法について、最近マスメディアに登場するようになった言葉があります。ロカボ食、あるいは単にロカボ、と呼ばれているもので、結局これは糖質制限食のことです。ただ、新しい言葉を作ることに特別な意味はないと考えます。大切なのは、何を目指して何を実行するのかに尽きます。
街中にも糖質摂取量を抑えたメニューを導入する外食産業が増えたり、糖質制限のデザートやパンなどが増えてきました。こういったことがマスメディアで報道されるようになったことで、かえって懸念されることが大きく分けて2つあります。まず、糖質制限する必要のない人が糖質制限してしまうこと。これは以前に述べたように、糖質制限することで、かえって2型糖尿病が発症しやすいというジレンマがあるのです。糖代謝に問題ない人は糖質制限をすべきではないのです。この事実が軽んじられていると思わざるを得ません。
また「ロカボ」のホームページを拝見しますと、実際にはかなり強い糖質制限を推奨しています。しかも低糖質の甘味料を上手に活用しよう、とうたわれていますが、これにも疑問があります。人工甘味料摂取が腸内フローラを乱し、インスリン抵抗性を産み出すことがあります。そうなるかどうかは既存の腸内フローラによって運命が決まっているようです。こういった事実が知られている以上、人工甘味料を安易に日常的に摂取すべきではないのです。
これらを踏まえて糖質制限すべき人に糖質制限食を指導する場合、食物繊維の重要性をもっと強調すべきと当院では考えています。すると必然的に、より自然な食品を摂りましょう、ということになります。冬は白菜やキノコや糸こんにゃくをたくさん入れた鍋物がいいでしょう。
糖質制限のデザートやパンについても、人工甘味料が使用してあるかどうかはチェックが必要と思います。皆が糖質制限を意識することで、無用な糖質の過剰摂取が減り、若い人が高度の肥満に陥ることは少なくなると思われますが、長い目で見た場合、「ロカボ食」によってよいことばかりが起こるとは、とうてい思えないのです。すべての人に糖質制限食を機械的に導入するわけではない。これが当院の考え方です。