30年前の恩師の指導と科学的思考について

30年前の恩師の指導と科学的思考について

2018年07月02日

すっかり暑くなりました。最近、スポーツ界において議論になる諸問題がおこっています。

①日大アメフト部タックル事件に始まり、②プロゴルフ片山晋呉選手の不適切対応事件、③全米オープンゴルフ選手権におけるフィルミケルソン選手の意図的な反則事件、④そしてサッカーW杯予選で我が国の時間稼ぎのパス回し、です。それぞれについての意見はここでは控えておきます。③④はルールを利用した頭脳的プレーという点で共通しますが、最も結論が出しにくいと感じたのが③です。いかがでしょうか。

この平成30年は私にとっては記念すべき年で、医師になって30周年になります。国家試験勉強の日々が思い出されます。なにしろ大量に記憶することがあり、記憶するだけなら科学的な思考は不要なのではないか、医学部は文科系でもよいのではないか、と悩んでいたのがこの時期です。この幼い悩みに対して、恩師はこのように答えてくれました。「医学は本当のサイエンスだから、やはり理科系でいいんだ」この言葉の意味に気づくのには、時間がかかったのでした。

では、科学的思考とは何でしょうか。狭い意味では出来事に対する疑問をいだき、仮説を立てる。それを立証する実験の後、再現性を証明するため実験を繰り返す、という事でしょう。すべてこの積み重ねで進歩してきたのが科学です。しかし、実験というプロセスを実行することが困難な場合、思考のみで結論を出すこともあります。その際に必要なことはなんでしょうか。個人的に次のようなことが必要と考えています。

①他人が言っていることが正しいとは限らないとの視点に立ち、自分で調べる。その上で自分で考える。②常に広い見方で考える。他の事象とのつながりを考える。③一定の結論が出た場合、他の有識者と議論する。独りよがりの結論でないことを確認する。④結論が十分に出なかった場合、わからないことはわからないままにしておく。

紙面の関係で具体的事例は挙げられませんが、このような思考過程を実行すると、他人が言っていないような意外な事実にめぐり合うことはあるものです。今回は30周年の緊急投稿につき、実際に役に立つ情報でなくでごめんなさい。暑き折、ご自愛下さい。

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