COVID-19のPCR検査について

COVID-19のPCR検査について

2020年04月14日

新元号を迎えて1年足らずで、世の中は一変しました。毎日がCOVID-19に関するニュースで満ちあふれ、不安な日々が続いています。もともと、このホームページでは生活習慣病についての情報を発信したいのですが、今回はホットなCOVID-19について書きます。

今日、令和2年4月13日夜の時点で既感染者7,682人、ウイルス保有者6,740人と発表されています。しかし、無症状~軽症で、まだ診断を受けていない感染者数がどのくらいいるのかがわからないことが、現在皆さんの心配の種だろうと思います。

このため、PCR検査数が少なすぎるからもっと検査すべきとの意見や、保健センターに問い合わせてもなかなか検査させてもらえなかった例が、TVでよく紹介されているかと思います。あたかも悪意を持って検査件数を抑制しているかのような内容で。

しかし、公表されている件数によると都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ、PCR検査を受けた件数のうち、陽性と判定されたのは約10%弱となっています。つまり、あくまで全国的統計では、新型コロナウイルス感染の疑いがある程度高い症例を選別して、適切に検査が施行されていると考えます。

ここで1つの困った事実があります。既にご存じかも知れませんが、PCR検査の不確実性です。臨床検査の精度の指標のうち、感度は重要な指標ですが、COVID-19のPCR検査の感度は様々な報告によれば30%くらい~80%くらいとなっており、あまり高くありません。ウイルスを持っている患者さんから検体を採取しても、陽性となる確率が30%~80%、という意味です。逆に言えば、見落としが70%~20%に起こります。この感度の低さおよびばらつきについて考察します。

PCR検査自体は優秀な検査で、検体の中に新型コロナウイルスのRNAが存在するかどうか、間違いなく判定できると考えられます。ところが感度が低いのは何故か。これは検体の採り方に大きく左右されると考えます。

PCR検査の検体は、鼻腔、咽頭、気管、血液、尿、便から検体を採取する方法があります。肺炎が疑われてすでに入院されている患者さんでは気管から採取されることが推奨されますが、他のケースでは鼻から採取するのが標準的です。鼻の奥まで綿棒を突っ込んで5秒間こするのがよいとされており、これはかなりの痛みを伴う検査です。5秒間は、とても長いです。

感度が低いことや、ばらつきが大きい理由は、①鼻に突っ込んだ綿棒で十分にこすったかどうか、②そこにウイルスが存在したかどうか、によって左右されると思います。

そもそもウイルスはどこから侵入するのか。これは、眼、鼻、口の3通りあります。眼だけから侵入すると結膜の充血や頭痛が初発症状となる、また口だけから侵入すると味覚障害が初発症状となる、そんな可能性があると考えています(エビデンスはありません)。なお、口からも感染しうることは、忽那賢志先生の個人Yahoo!ニュースの中に紹介されています。

眼や口だけからウイルスが侵入したならば、鼻から検体を採取したPCR検査で陰性になりやすい、という訳です。とはいっても、眼・鼻・口の3か所から検体を採取する、などという考え方は、人道的に考えても非現実的だと思います。

最も恐ろしい肺炎は、鼻→気管→肺へとウイルスが広がるケースが多いと思われます。そこで私は考えるのですが、もしもマスクで鼻からの侵入を十分に防ぐことができれば、最も恐ろしい肺炎を起こしにくいのではないか。

感染する機会を最も減らすのは手洗いであること、マスクは感染予防にはさほど効果がないことがすでに証明されている今日ですが、それでもマスクの重要性を訴えたいのです。感染しても命を失わないことが最も大切、と考えるからこそです。

実際のところマスクはほとんど市場に出回っていませんが、マスクがなくなっても、Tシャツを割いて作る方法など(高山義浩先生のfacebook、4月11日分)、有用な情報がネットにはあふれています。自分の身は自分で守りましょう。

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