新型コロナウイルスPCR検査の陽性率について
2020年05月07日
暖かくなってきましたが、緊急事態宣言の延長が発表されるに至り、気分が晴れない春です。
誰もがすでに自分なりの対策を実行・継続されていることと思います。しかし自分にはどうにもコントロールできないこともあるでしょう。そんなストレスの中で、心の均衡を保つことも重要です。新型コロナウイルス感染症が出現したことによって精神状態が変わってしまう方があり、この病態を、CIAMS(Corona virus-Induced altered mental status)と名付けて注意を促している医師もおられます。他人のことを何かと批判したくなってしまうことも、いわゆる「コロナ鬱」も、このCIAMSの一部と考えられます。
幸い、4月中旬からは全国的に新規感染者数は減少傾向にあります(新型コロナウイルス国内の最新感染状況マップ)。しかし、都道府県別の現在患者数を毎日チェックしているとわかるのですが(新型コロナウイルス対策ダッシュボード)、各都道府県ともに現在患者数がなかなか減らず、むしろゆっくり増加傾向にあります。それは患者さんが1か月ほどにわたって入院されていることが多いからであり、退院できる基準が厳しいことも話題(問題)になっています。そのため指定医療機関の病床の余裕ができるまで、緊急事態宣言が延長されたという訳です。
早く治るための薬については、有名人の体験談がいくつか報道されたこともあり、皆さんが大きな期待を寄せているところだと思います。これについては再度になりますが、忽那先生の個人ブログをご参照下さい。本物の専門医は、薬の使用についてかなり慎重であることがわかります。
今回の主題は、PCR検査の陽性率です。検査を受けた人のうちどれだけの人が陽性を示したか、です。前回ブログにも、全国的にはPCR検査を受けた人のうち10%弱が陽性となっていることを紹介しました。ただし、理想的には7%未満となっていなければならないことが示されています。大阪府知事が自粛要請の解除基準を独自に「大阪モデル」として発表しましたが、この中にも陽性率7%未満という指標が含まれています。最近、各都道府県別のPCR検査の陽性率が厚労省ホームページの中に公表されていることに気づきました(新型コロナウイルス陽性者数とPCR検査実施人数)。これを見ますと、当院がある愛知県では令和2年5月5日時点で累計陽性率6.4%となっており、PCR検査は充足していたことになります。一方、陽性率が明らかに10%を越える都道府県ではPCR検査が足りなかったことになり、それに応じてPCR検査を拡充すべく対策しているところであると思います。なお、最近は新規感染者数が減少しているため、各都道府県ともに陽性率は低くなってきているはずで、これについては今後データを保存しながら各期間ごとの陽性率の変化を見ていきたいと思っています。
上のように、全国的に評価すればPCR検査が圧倒的に足りなかったとは言えないと考えています。最近デイリー新潮に掲載された、東京の病院にお勤めの匿名医師のインタビュー記事は、きわめて冷静な意見であると思います(新型コロナウイルス「最前線の医師」が語った本音)。少々長いですが、一読に値します。賢明な皆さんは、ワイドショーで語られていることを鵜呑みにしないことです。そして、家族との無駄話も含めて、ストレスをためずに過ごしましょう。