抗体陽性率から推察する、新型コロナウイルス感染症の実際の感染者数

抗体陽性率から推察する、新型コロナウイルス感染症の実際の感染者数

2021年05月04日

約1年ぶりの投稿となりました。

 この1年間、最も重要な関心事は新型コロナウイルス感染症のことでした。これから本格化するワクチン接種で、どこまで感染者を減らすことができるのか注目です。

 毎日発表されている新規感染者数の背景に、実は発見されていない無症候感染者がいることはご周知のことと思いますが、現実的にどれほどの感染者総数がいるのかを考察し、我々が日々の生活で感染するリスクを推定してみたいと思います。

 やや古いデータになりますが、令和2年12月14日から12月25日にかけて、全国の主要都道府県でCOVID-19の抗体スクリーニング検査が施行されました。それによると、スクリーニングは東京都、大阪府、宮城県、愛知県、福岡県で施行され、それぞれの都道府県での抗体陽性率は、東京0.91%、大阪0.58%、宮城0.14%、愛知0.54%、福岡0.19%となっていました。

 これらの抗体陽性率と、各都道府県の人口を単純計算で掛け合わせれば、この時点(調査期間の中央の12月19日としました)での実際の感染者数を推計することができます。これと、この時点(同上)で各都道府県で判明していた感染者数合計を比較することで、毎日判明する新規感染者の陰に、どれほどの隠れた感染者がいるのか推定してみました。以下、オリジナルデータです。

 人口期日までの感染者合計抗体検査例数抗体陽性者抗体陽性率 人口―感染判明数隠れた感染者数倍数

PCR陽性率

東京13,960,00050,9103,399310.0091213,909,090126,8552.490.056
大阪8,815,00026,7872,766160.005898,788,21350,8361.900.065
宮城2,290,0001,7072,86040.001402,288,2933,2001.870.073
愛知7,537,00013,7372,960160.005417,523,26340,6662.960.081
福岡5,107,0007,1353,07860.001955,099,8659,9411.390.030
全国125,570,000195,39015,063730.00485125,374,610607,6043.110.041

 感染したことがない症例を募集して抗体検査を施行したはずですから、人口からその時点までの感染者数を減じて、そこに抗体陽性率を掛け合わせました。結果として、各都道府県で発表されている感染者数の陰に、実際には2倍前後(1.39倍~2.96倍)の感染者が隠れていることが推計されました。例えば東京の2.49倍というのは、ある日の新規感染者が100人であったら、実際には349人発生しているという計算になります。

 これらのばらつきは何によって生じるのか、例えばPCR検査の充足率と関係あるのでしょうか。PCR検査数が不足するとPCR陽性率が上昇することが知られていますが、各都道府県における(その時点での)PCR陽性率と比較してみたところ、はっきりした関係はないように思われました。

 これらの5都道府県の合計が全国を代表していると仮定したところ、倍数は3.11と、各都道府県のいずれよりも多くなる矛盾を生じました。これは、東京も含めて最も人口密度の高い都道府県がサンプリングされているからであり、実際には全国では隠れた感染者が2倍前後存在すると考えてよいと思われます。したがって、あくまで概算ですが「全国で実際の感染者数は約3倍」と推定されます。

 さて令和3年5月3日現在、全国での新規感染者は5,000人前後、これまでの感染者総数は約60万人です。総数が人口の1%にも満たないからといって、自分が感染するはずがないと考えるのは早計であることがわかります。次に、市中にどれほどの無症候感染者がいるかを推定してみます。

 1日の新規感染者数が、しばらくの期間5,000人前後で一定であると仮定します。毎日5,000人の新規感染者が発生しているわけですが、その陰に無症候の10,000人の感染者が発生していると推定されます。感染が診断された患者さんは即刻隔離されるので、その後我々と接触することはなくなりますが、発症する直前の2日間ほどは他人への感染力があります。また、毎日10,000人新規発生する無症候感染者も、例えば4日間ほど他人への感染力があると仮定します(無症候感染者は追跡できないため、他人への感染力が何日間あるかを証明するデータはなく、あくまで仮定です)。すると、5,000×2 + 10,000×4 = 50,000となり、他人への感染力を持つ感染者が、全国に毎日5万人くらいいることになります。これは約2,500人に1人くらいの確率になります。

 今回のブログで述べた、「実際は約3倍の感染者」「令和3年5月時点で約2,500人に1人がウイルス保菌者」というのは、いずれも推定であり、どれくらい正確かはわかりませんし、地域間での較差も考慮する必要があります。しかし、今まで恐れすぎていた方にとっては、少しは現実が見えたのではないでしょうか。ゴールデンウイークをどのように過ごすかの参考にしていただきたいと思います。

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