新型コロナウイルス感染症の流行周期と致死率の考察

新型コロナウイルス感染症の流行周期と致死率の考察

2022年01月04日

あけましておめでとうございます。2022年、令和4年になりました。本年もよろしくお願いします。
以前にも書いたことですが、生年月日が元号で記されていた場合の年齢計算法を情報提供します。ずっと大正が続いていたとすれば今年は大正111年になります。同様に昭和97年、平成34年です。なので、例えば昭和25年生まれの方は97-25=72歳、となります。ただし誕生日の前ならば71歳、という具合です。
さて新型コロナウイルス感染症の流行周期を占うべく、私は実行再生産数を独自にずっと記録して観察してきました。その基本からお話します。多少数学的な内容になります。
実行再生産数は毎日の新規感染者数から割り出した、いわば感染者数の増加速度ないし減少速度に相当するものです。標準的な計算法は、ある日から起算して過去7日間の新規感染者数合計(1)と、その前の7日間の新規感染者数合計(2)を算出し、(1)/(2)を7分の5乗します。7分の5乗というのは「べき乗計算」で、エクセルに入力して計算してもらえば簡単です。7分の5倍ではありません。
解説を加えますと、ご周知のごとく新型コロナウイルス感染症は潜伏期が平均で5~6日ですが発症直前の日が最も他人に感染させやすいことから、感染が広がる周期(serial interval)は5日とされています。(1)/(2)は7日間での変化をみたものですから、5日間であればどれだけ変化するかを算出するのが、7分の5乗する理由となります。
計算法については標準的な方法以外にも、2週間の合計をとる方法(2週間法)、あるいは1日だけずらす方法(1日法)も考えられ、その場合のべき乗数は、それぞれ5/14、および5となります。1日法では実行再生産数の増減が安定しない時期がありますが、いつから増加から減少に、あるいは減少から増加に転じたのか、早く知るには有用です。
さて実行再生産数がずっと1.2の場合、1か月でどれだけ増えるでしょうか。5日間で1.2倍ですから、30日後なら1.2を6乗したもの(約3倍)になります。同様に実行再生産数が1.4ならば30日後には約7.5倍、0.8ならば0.26倍になります。実行再生産数が計算できるエクセルファイルを添付しておきます。著作権は主張しませんのでご自由にダウンロードしてお使いください。実行再生産数ファイル新規感染者数を入力するたびに全国の標準法、2週間法、1日法の実行再生産数が自動的に表示されます。愛知県と東京都それぞれの標準法と1日法も付け加えてあります。
注意していただきたいのは、新規感染者数を入力した際に、標準法では7日前、2週間法では14日前、1日法では4日前のセルに実行再生産数が表示されるようになっていることです。その理由は、算出された実行再生産数は、数学的には今日の瞬間の増減速度を反映するものではないということにありますが、少々煩雑になりますので説明は割愛します。
さて、実行再生産数と週間移動平均値(すなわち過去1週間の合計)の両者を観察することで、過去の第1波から第5波、および第6波が定義できます。

第1波2020年1月16日~同年5月23日(ピークは4月12日)
第2波2020年5月24日~同年9月24日(ピークは8月6日)
第3波2020年9月25日~2021年2月26日(ピークは1月8日)
第4波2021年2月27日~同年6月17日(ピークは5月11日)
第5波2021年6月18日~同年11月24日(ピークは8月22日)
第6波2021年11月25日~

第3波と第6波を比べると、立ち上がりが2か月も遅延しています。本来なら増加すべき時期に増加せずに済んでいたことは、素直にワクチンの効果と考えればよいでしょう。ここで、それぞれにおける致死率を計算してみましょう。各周期の新規感染者数合計と死亡者を算出しなければいけませんが、死亡者数は各周期の転換日から30日後ろにずらして集計しました。その結果ですが、下記のごとく、第5波では既に致死率の明らかな低下がみられました。

 感染者数合計死亡者数致死率
第1波16,4059555.82%
第2波63,4077551.19%
第3波348,6337,3182.10%
第4波349,6816,0071.72%
第5波942,4563,3430.35%

そろそろワクチンの効果も薄れ、全国的にはっきり新規感染者数が増加に転じています。しかし、幸い重症化しにくくなっているとの見方が現在のところ強いようです。世間全体が正常に戻るのも、あと少しかもしれません。それを楽しみに待ちましょう。

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